今年は紅葉が美しいそうだ。
寒暖の差が激しいと体は疲れるが、紅葉の美にとってはそのことが、幸いするらしい。
去年の5月頃、仕事で広島にいった時、帰りに岩国市に立ち寄った。
岩国と言えば、錦帯橋が有名だが、私には「宇野千代」さんの故郷であることがゆかしい。
そこで新幹線の新岩国駅から路線バスに乗って、「宇野千代生家跡」へ。
帰りの新幹線の時間の時間を気にしつつ、最寄のバス停から降りて、てくてく歩く。
城下街らしい雰囲気のある家並を通って、目的の場所へ。
そこでちょっとびっくり。
私の宇野千代さんのイメージは、桜大好きの恋多き女流作家。
しかし、彼女の愛した家と庭はそれを裏切るものだった。
まず、庭には桜が一本もない。
(本人自身が”桜きちがい”というほど桜大好きなので、なんとなく桜の庭を想像していた)
すべてがモミジの木。あとその木をじゃましない程度にさりげなく置かれた、石と仏頭。
様々な種類のモミジが、流れるようにレイアウトされたシンプルな庭。
庭木がモミジだけなんて、珍しいのではないだろうか。
鋭い美意識と高いデザイン性とセンスがなければ、あんな庭は造れない。
改めて宇野千代さんがモダンな着物デザイナー&ファッション誌の編集者として、
卓越したセンスと才能をもった人だったんだな~と思った。
初夏の柔らかな緑のモミジの庭は、きりっと涼やかで、繊細で、優しかった。
今年の美しい紅葉のグラデーションはあの庭をどのように変えるのか。
ぜひ、行ってみたい。
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